【プロが実機検証】NordVPNは本当に速いのか?速度・安全性・料金をデータで評価【2026年版】

【2025年最新】NordVPNの評判と実際に使ってみた本音レビュー|ユーザー口コミ100件分析
べるどら
合同会社Now Topic 代表社員・CyberProgress 運営責任者
CyberProgressの運営責任者。合同会社Now Topic 代表社員。2020年からWebメディアの運営を開始し、現在は約10サイトを手掛ける。Webアプリやスマホアプリの開発も行う。サーバーの解説を行うYouTubeチャンネルの総再生回数は6万回を突破。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、情報処理安全確保支援士試験に合格。

「NordVPNが良いとは聞くが、本当に速いのか、安全なのか、料金に見合うのか」

そう疑問を持ったまま契約をためらっている人は多い。


本記事では、NordVPNを4年以上使い続けてきた筆者が、実測した通信速度データや第三者機関による監査結果、そして競合のSurfsharkとの比較をもとに、NordVPNを多角的に評価する。

よくあるVPN紹介記事のように「速い・安全・おすすめ」と並べるだけでなく、2018年に起きたサーバー侵害事件や、「脅威対策Pro」の検出率の限界といったデメリットについても正直に記述する。


速度の実測値はspeedtest.net CLIを使用して取得したものだ。

接続はWireGuard系プロトコル(NordVPNはNordLynx、SurfsharkはWireGuard)で統一し、複数のISPサーバーで計測している。

計測の詳細な手順と環境については「通信速度を検証する」セクションで解説する。

まず最初に、NordVPNが自分に合うかどうかを判断するための結論を示す。

目次

【結論】NordVPNはこんな人におすすめ

NordVPNのイメージ画像

詳細な根拠は後続のセクションで順に示していくが、結論を先に知りたい人のために、まずNordVPNが向いている人・向いていない人を整理する。

NordVPNが向いている人

NordVPNが向いているのは以下のような人だ。

  • 日本国内で常時VPNを使いたい人
  • プライバシー・セキュリティをきちんと担保したい人
  • VPNを長期的に使い続けるつもりがある人
  • Windows・Mac・iOS・Androidを複数使っている人

それぞれ詳しく解説していく。

日本国内で常時VPNを使いたい人

後述の実測データで示すが、NordVPNの東京サーバーに接続した場合のダウンロード速度は平均792Mbpsが出た。

ベースライン(VPN未接続時913Mbps)に対する維持率は約87%だった。


つまり、VPNを通しても速度はほとんど落ちない。

フルHD・4K動画の視聴や大容量ファイルの転送を日常的に行う人でも、国内サーバーであれば実用上の不満はまず生じないはずだ。

プライバシー・セキュリティをきちんと担保したい人

NordVPNは2026年2月時点でデロイト社によるノーログ監査を6回受けており、ユーザーの通信履歴を記録していないことが継続的に第三者検証されている。

管轄はパナマであり、EU・米国・英国などが形成する「5・9・14eyes」の枠外に置かれているため、政府機関からのデータ開示要求を受けにくい法的環境にある。

公共Wi-Fiを使う機会が多い人や、個人情報の取り扱いに敏感な人には特に有効だ。


ちなみに5eyesや9eyes、14eyesは各国で情報共有を行う枠組みのことだ。

詳しくは「【プロが解説】5eyes・9eyes・14eyesとは。日本は加盟国?VPN選びへの影響を徹底解説」で解説しているので、詳しく知りたい方はこちらを参照してほしい。

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【プロが解説】5eyes・9eyes・14eyesとは。日本は加盟国?VPN選びへの影響を徹底解説 VPNの選び方を調べていると、「5eyes加盟国のVPNは避けるべき」といった記述を目にすることがある。 しかし、そもそも5eyesとは何なのか、なぜVPN選びに関係するのか、...

VPNを長期的に使い続けるつもりがある人

2年+3ヶ月プランのベーシックプランであれば月額470円まで抑えられる。

NordVPNの2年契約時の料金表
(出典:NordVPN、2026/04/17時点)

セキュリティの観点からVPNは「使うときだけ」ではなく常時接続が理想であることを踏まえると、ランニングコストが低いことは長期利用において大きなアドバンテージになる。

Windows・Mac・iOS・Androidを複数使っている人

NordVPNは1契約で最大10台まで同時接続できる。

PC・スマートフォン・タブレットをまとめて保護できるため、デバイスを複数持つ人にとってコストパフォーマンスが高い。

NordVPNが向いていない人・他社が勝るケース

NordVPNではなく、他社のサービスのほうが向いているケースは以下のような場合だ。

  • とにかく料金を安く抑えたい人
  • 中国・ロシアから利用する予定がある人
  • 月単位の短期利用が目的の人

こちらもそれぞれ解説する。

とにかく料金を安く抑えたい人

NordVPNのベーシックプランは最安で月額470円だが、Surfsharkのスタータープランは2年契約の場合、月額298円と、Surfsharkの方が約35%安価となる。

NordVPN
ベーシックプラン
Surfshark
Starterプラン
月額料金
(2年契約時)
470円298円

また、SurfsharkはNordVPNと異なり同時接続台数が無制限であるため、家族全員のデバイスをまとめてカバーしたいケースではSurfsharkの方がコスパに優れる。

詳細は後述の比較セクションで示す。


Surfsharkについては「【プロが実証解説】Surfsharkとは。料金・評判・安全性を情報セキュリティの専門家が徹底解説」で解説している。

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中国・ロシアから利用する予定がある人

中国やロシアの規制下では、NordVPNの接続は不安定になりやすい。

これらの国への渡航を主目的にVPNを選ぶ場合は、難読化技術に特化したExpressVPNやAstrill VPNを選ぶ方が現実的だ。

月単位の短期利用が目的の人

NordVPNの1ヶ月プランは月額1,810円と割高になる。

NordVPNの1ヶ月契約時の料金表
(出典:NordVPN、2026/04/17時点)

2年契約時の月額470円と比べると約4倍だ。


30日返金保証を使って実質無料で試すことはできるが、それを超えて短期利用を続ける場合はコストが嵩む。

旅行や出張など一時的な用途であれば、月額料金が比較的安価なサービスを選んだ方がよい。


以上が本記事の結論だ。

「なぜそう言えるのか」という根拠は、このあとの速度実測データ・第三者監査・比較検証のセクションで順に示していく。

NordVPNとは?基本情報まとめ

NordVPNのイメージ画像

ここではNordVPNの概要について解説する。

公式サイトを読んでいる場合はすでに知っている情報が多いと思うため、読み飛ばしても問題ない。

概要・運営会社・管轄法域

NordVPNは、リトアニアに本社を置くNord Securityが開発・運営するVPNサービスだ。

サービス開始は2012年。

記事執筆時点では世界211ヶ国以上に7,400台以上のサーバーを展開し、ユーザー数は1,400万人以上とされている。

サーバー台数、ユーザー数ともに業界トップクラスだ。


プライバシー保護の観点で重要なのが、法人登記地がパナマであるという点だ。

パナマは米国・英国・オーストラリアなどが形成する情報共有協定「5・9・14eyes」に加盟していない。

つまり、加盟国の政府機関から「ユーザーデータを提出せよ」という法的要求が来たとしても、NordVPNはそれに応じる義務を負わない法的立場にある。

もっとも、法的な管轄がどこであれ、そもそもログを残していなければ提出するデータ自体が存在しない。

ノーログポリシーの実効性については、後述の第三者監査セクションで詳しく検証する。


5eyesや9eyes、14eyesについて、詳しくは「【プロが解説】5eyes・9eyes・14eyesとは。日本は加盟国?VPN選びへの影響を徹底解説」で解説している。

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対応プラットフォームと同時接続数

NordVPNが対応しているプラットフォームは以下のとおりだ。

プラットフォーム対応状況
Windows
macOS
Linux
iOS
Android
Android TV
Fire TV
ブラウザ拡張
(Chrome / Firefox / Edge)

1つのアカウントで最大10台まで同時接続できる。

スマートフォン・PC・タブレットをまとめて保護できる。

複数デバイスを使い分けている人にとって実用的な上限だ。

なお、競合のSurfsharkは同時接続が無制限である点は、後述の比較セクションで改めて触れる。

主な機能一覧

NordVPNの機能は大きく「VPNコア機能」「プライバシー強化機能」「セキュリティ付加機能」の3層に整理できる。

VPNコア機能

暗号化規格はAES-256を採用している。

AES-256は現時点では現実的な時間内での解読が不可能とされており、政府機関や金融機関でも使用される水準だ。

イメージとしては、鍵の組み合わせパターンが2の256乗通りある感じだ。

「2の256乗」は宇宙の原子の数を超える数字であり、総当たりで解くのは事実上不可能と考えていい。


接続プロトコルはNordLynx(WireGuardベース)、OpenVPN(UDP/TCP)、IKEv2/IPSecに対応している。

これらの意味は普通に使う分には覚える必要はないので安心してほしい。

デフォルトはNordLynxで、速度と安全性のバランスが最も優れているとされる。

本記事の速度計測もNordLynxで実施している。


キルスイッチは、VPN接続が予期せず切断された際にインターネット全体への通信を即座に遮断する機能だ。

VPNが切れた瞬間だけ素のIPアドレスが露出する、という事態を防ぐ。

筆者の実機検証でも正常に動作することを確認しており、詳細は検証セクションで報告する。

プライバシー強化機能

ダブルVPNは、通信を2か所のVPNサーバーを経由して二重に暗号化する機能だ。

通常のVPNよりも匿名性が高まる反面、速度は低下する。

ジャーナリストや内部告発者など、高い匿名性を必要とする用途を想定した機能であり、一般的な用途では通常のVPN接続で十分だ。


Onion Over VPNは、VPN接続の上にTorネットワークを重ねる機能だ。

Torは複数のノードを経由して通信を分散させる仕組みであり、VPNとの組み合わせでさらに身元特定を困難にできる。

ただし、これもダブルVPN同様、通常用途には過剰な機能といえる。


メッシュネットは、自分の複数デバイス間や信頼できる相手のデバイスと、暗号化されたプライベートネットワークを構築する機能だ。

外出先から自宅PCにリモートアクセスしたり、安全にファイル共有したりといった用途に使える。

セキュリティ付加機能

「脅威対策Pro」は、マルウェアブロック・広告ブロック・トラッカーブロック・フィッシング対策を統合した機能だ。

ただし、専用のウイルス対策ソフトと比べると検出率は低く、代替にはならない。

この点については後述のデメリットセクションで具体的なデータとともに詳しく説明する。


ダークウェブモニタリングは、自分のメールアドレスや個人情報がダークウェブ上に流出していないかを監視してくれる。

万が一、ダークウェブ上への流出が検出された場合に通知してくれる機能だ。

情報漏洩への早期対処に役立つ。


専用IPは、自分だけが使う固定のIPアドレスを取得できるオプションだ。

通常のVPNでは多数のユーザーがIPを共有するため、他ユーザーの行動の影響でIPがブラックリストに登録されCAPTCHA(「ロボットではありません」のチェックボックス)が頻発することがある。

専用IPを使えばこの問題を回避できるが、別途追加料金が発生する。

専用IPはあったほうが良いが、追加料金を払ってまで追加すべき必須機能ではないため、特に気にする必要はない。

料金プランの詳細

NordVPNの2年契約時の料金表
(出典:NordVPN、2026/04/17時点)

NordVPNには3つのプランがある。

プラン1か月1年
(月額換算)
2年+3か月
(月額換算)
ベーシック¥1,810¥700¥470
プラス¥2,120¥770¥550
コンプリート¥2,600¥970¥750
(※2026/04/17時点)

2年+3か月プランにすると、1か月プランと比較してベーシック・プラスで74%、コンプリートで約71%の割引になる計算だ。

各プランの機能差は以下のとおりだ。

ベーシックプラン

VPNコア機能と基本的な広告ブロック機能のみを含むシンプルなプランだ。

「VPNの本来の用途(通信の暗号化・IPアドレスの隠蔽)だけを使いたい」という人であれば、このプランで必要十分だ。

筆者もベーシックプランを使用している。

プラスプラン

ベーシックプランの機能に加えて、脅威対策Proとパスワードマネージャーが付帯する。

脅威対策Proはマルウェア対策・高度な広告ブロック・トラッカーブロックといった機能が含まれている。


専用のセキュリティ対策ソフトを別途導入していない場合に選択肢となるが、後述のとおり脅威対策Proの検出率は専門のウイルス対策ソフトには及ばない。

セキュリティを本格的に強化したいなら、NordVPNはベーシックに留め、ウイルス対策ソフトは別で導入する方が合理的だと筆者は考えている。

コンプリートプラン

プラスプランの機能に加えて1TBのクラウドストレージ(Nordsafe)が付帯する。

Googleドライブの2TBプランが月額約1,200円であることを考えると、1TBのストレージ込みで月額750円~というのは2TBも要らないユーザーからすると悪くない。

ただし、すでに他のクラウドサービスを使っている人には余剰になる。


なお、30日間の返金保証が全プランに付帯している。

契約後30日以内にサポートに連絡すれば全額返金される。

まず試してから判断するという使い方が可能だ。

NordVPNの安全性を第三者データで検証する

ノーログポリシーを謳っているVPNは多い。

しかしそれが本当かどうか、どうやって確かめるのか。

これはVPN選びにおいて最も本質的な問いだ。


NordVPNはこの問いに対して、複数の独立した第三者機関による監査という形で答えを出し続けている。

以下では各監査の内容と意味を順に整理する。

Deloitteによる6回のノーログポリシーに関する監査

2025年末、NordVPNは世界4大監査法人の一つであるデロイト リトアニアにノーログ監査を委託した。

これはNordVPNとして6回目の独立監査にあたる。

監査は「ISAE 3000」と呼ばれる国際的な監査基準に基づいて行われた。


デロイト社は通常のVPNサーバーに加え、ダブルVPN・Onion Over VPN・難読化サーバーといった特殊構成のサーバーまで調査対象とし、スタッフへのインタビュー・設定ファイルの精査・ライブシステムのログ確認を実施した。

その結果、ユーザーのオンライン通信の追跡やログの記録が一切行われていないことが確認され、2026年2月に公式サイトにて発表されている。

監査履歴を時系列で整理すると、初回が2018年、以降2020年・2022年・2023年・2024年・そして今回の2025年となる。


ここで重要なのはISAE 3000という基準の性質だ。

これは専門の審議会が定めた財務領域以外の保証業務に関する国際規格である。

監査法人がその結果に署名して責任を負う形式の検証だ。

イメージとしては、企業の財務諸表を会計士が正式に監査するのと同等の厳格さで、プライバシーの運用実態が検証されたということだ。


ただし、この監査は「ある時点のスナップショット」であることも理解しておく必要がある。

監査期間外にログが取られていないかどうかを証明するものではなく、あくまで調査期間中の運用実態を確認したものだ。

とはいえ、6年にわたって継続的に同種の監査を受け続けているという事実は、他のVPNプロバイダとの明確な差別化要素となっている。

なお、監査の完全レポートはNordアカウントにログインすれば閲覧できる。

アプリ・インフラの侵入テストもクリア

ドイツのサイバーセキュリティ企業であるCure53は、NordVPNのインフラとアプリケーションに対するペネトレーションテスト(侵入テスト)を実施している機関だ。

ノーログ監査が「ログを取っていないか」を検証するものであるのに対し、ペネトレーションテストは「アプリやサーバーに攻撃可能な脆弱性がないか」を検証するものである。

両者は異なる観点から安全性を担保している。


2022年の監査ではWindows・macOS・Linux・Android・iOSの各アプリとサーバーインフラが対象となり、発見された問題点についても適切に対処されたことが報告されている。

さらに2025年には、Cure53がNordVPNのシステムに対して5月・6月・10月にわたる大規模なセキュリティ監査を実施し、致命的な脆弱性は発見されなかった。

Threat Protection ProのAV-TEST評価

2024年11月、ドイツの独立セキュリティ評価機関AV-TESTがNordVPNの「脅威対策Pro」を評価した。

悪意あるリンクの検出・ブロック能力において、全体の検出率は83.42%、誤検出率は約0.48%という結果だった。

同機能はWest Coast Labs(WCL)のマルウェア対策テストでも最高評価(AAA)を獲得している。


ただし、この数値は「脅威対策ProがVPNの付加機能としては優秀」という文脈で読むべきだ。

専用のウイルス対策ソフト(ノートンやアバストなど)は検出率が概ね99〜100%に達している。

つまり、脅威対策Proの83%という数値はその代替にはなりえない水準だ。

この点はデメリットセクションで改めて詳しく取り上げる。


本調査結果は英語にはなるが、AV-TESTのサイトで報告書を確認できる。

AV-Comparativesのフィッシング対策認証

2024年、オーストリアのセキュリティ評価機関AV-Comparativesの「Anti-Phishing Test Series(フィッシング対策テストシリーズ)」において、NordVPNは「Approved Anti-Phishing Product(認定フィッシング対策製品)」に認定された。

フィッシングサイトの検出・ブロック率は85%という評価だ。


こちらもAV-TESTの評価と同様、数値の解釈に注意が必要だ。

専用のセキュリティソフトのフィッシング対策は90〜95%以上の水準に達しているものも多く、85%は「VPNとしては対策機能を備えている」という評価にとどまる。

VPN本来の用途であるプライバシー保護・通信暗号化と組み合わせて使うものであり、フィッシング対策はあくまでも補助的な機能と位置づけるべきだ。

AV-Comparativesの報告書も英語ではあるが、公式サイトで確認できる。

【実測データ】NordVPNの通信速度を検証する

「VPNを使うと通信速度が落ちる」

これは事実だ。


通信が暗号化・復号されるプロセスが加わり、さらに物理的にはVPNサーバーを経由する分だけ経路が長くなるためだ。

問題は「どれくらい落ちるのか」であり、それは実測しなければわからない。

以下では筆者が実際に計測したデータをもとに報告する。

計測環境・方法

項目内容
計測日2026年4月14日
15時〜17時
地域関西
OSWindows 11
接続方式有線LAN
回線eo光 5Gbpsプラン
PC側のLAN端子は1Gbpsベース
計測ツールspeedtest.net CLI
プロトコルNordLynx
(WireGuardベース)

回線はeo光の5Gbpsプランを使用しているが、PC側のLAN端子が1Gbpsベースのため、実効的な上限は1Gbps付近となる。

ベースライン(VPN未接続)の計測結果はダウンロード913.75Mbps・アップロード928.77Mbps・レイテンシ(遅延)11.88msであり、回線の上限に近い値が出ている。


各サーバーは複数のISP(サーバー事業者)経由で複数回計測している。

NordVPNは同じ「東京サーバー」でも接続するISPによってルーティングが異なる。

特定の1回だけの計測ではなく複数回の平均値で評価することが実態に近い。

ISPについては「プロバイダー確認君」というサイトで確認できる。


プロトコル(接続方式)はデフォルトのNordLynxを使用した。

NordLynxはWireGuardという業界標準の接続方式をベースにNordVPNが独自拡張したプロトコルである。

現在NordVPNが提供するプロトコルの中で最も速度・安定性のバランスが優れているとされる。


なお、回線速度や遅延は利用者の環境によって左右される。

あくまで参考値として利用してほしい。

日本サーバー(東京・大阪)の速度

NordVPNの日本サーバーは東京だけでなく、大阪にもある。

ここでは東京と大阪に分けて順に報告する。

東京サーバー

東京サーバーに対して、3つのISP経由で計測した結果は以下のとおりだ。

スクロールできます
ISPダウンロードアップロードレイテンシ
(参考)VPNなし
(ベースライン)
913.75Mbps928.77Mbps11.88ms
GSL Networks598.62 Mbps903.89 Mbps11.63 ms
Hydra Communications882.97 Mbps899.96 Mbps15.36 ms
PacketHub895.52 Mbps903.97 Mbps11.17 ms
3社平均792.4 Mbps902.6 Mbps12.7 ms
ベースライン比86.7%97.2%

GSL Networks経由では598Mbpsまで落ちた一方、Hydra CommunicationsとPacketHub経由では890Mbps前後を記録しており、ISPによってばらつきがある。

平均値ベースで見るとダウンロードは792Mbps・ベースライン比86.7%を維持しており、アップロードにいたっては97%とほぼ低下していない。


レイテンシはベースラインの11.88msに対して平均12.7msとほぼ変わらず、実用上の遅延は感じられないレベルだ。

パケットロスはすべての計測で0%だった。

4K動画の視聴やオンラインゲームも含め、日本国内での利用であれば速度面の不満はまず生じないと断言できる。

大阪サーバー

大阪サーバー(PacketHub経由)の計測結果はダウンロード554.99Mbps・アップロード870.25Mbpsで、ベースライン比は約60.7%だった。

東京サーバーと比べてダウンロードが落ち込んでいる。


大阪は最近追加された拠点であり、以前から提供されている東京拠点と比べると、サーバー台数や環境が弱いと考えられる。

回によってはパケットロスが最大1.2%発生している点も確認された。


関西在住の筆者環境では、東京サーバーより大阪サーバーの方が地理的には近いため、理論上は大阪のほうが速いはずだ。

しかし、実際には東京サーバーの方が安定した結果が出ている。

接続先は自動選択に任せるよりも実測して選ぶことを勧める。

海外サーバー(韓国・シンガポール・アメリカ・イギリス)の速度

物理的な距離が遠くなるほど速度低下は大きくなる。

以下では主要な海外サーバーの計測結果をまとめる。

スクロールできます
サーバー平均DL平均UL平均レイテンシDL維持率平均パケロス
ベースライン
(VPN OFF)
913.75 Mbps928.77 Mbps11.88 ms0%
東京792.4 Mbps902.6 Mbps12.7 ms86.7%0%
大阪555.0 Mbps870.3 Mbps12.6 ms60.7%0.6%
韓国
(ソウル)
318.1 Mbps778.6 Mbps60.9 ms34.8%0.2%
シンガポール430.9 Mbps849.0 Mbps168.9 ms47.2%0.2%
アメリカ
(LA)
454.9 Mbps882.2 Mbps171.5 ms49.8%1.325%
アメリカ
(NY)
389.4 Mbps819.1 Mbps260.0 ms42.6%4%
イギリス
(ロンドン)
323.9 Mbps793.2 Mbps348.8 ms35.4%0%

韓国(ソウル)

複数回接続したが、ISPはPacketHubのみであった。

スクロールできます
speedtest.net
接続先
ダウンロードアップロードレイテンシDL維持率パケロス
kdatacenter.com
(ソウル)
297.39 Mbps659.41 Mbps46.77 ms32.5%0%
IPA CyberLab
400G
(東京)
338.72 Mbps897.88 Mbps75.06 ms37.1%0.4%
平均792.4 Mbps778.6 Mbps60.9 ms34.8%0.2%

日本から最も近い海外サーバーの一つだが、ダウンロードの平均は318.1Mbps・維持率は34.8%と、東京サーバーと比べて大きく落ち込んでいる。

レイテンシは平均60.9msで、リアルタイム性を要求するゲームには若干気になる水準だ。

パケットロスも一部の計測で確認されており、韓国サーバーは今回の調査ではNordVPNにとって得意な区間ではないことが数字に表れている。


ただし、動画視聴であればリアルタイム性をそれほど求めないため、大きな問題はないだろう。

シンガポール

接続先のISPはGSL NetworksとPacketHubがあった。

以下の表では上2つがGSL Networks、下2つがPacketHubに接続した場合となる。

スクロールできます
speedtest.net接続先ダウンロードアップロードレイテンシDL維持率パケロス
Singtel
(シンガポール)
615.31 Mbps872.43 Mbps110.84 ms67.3%0.6%
IPA CyberLab 400G
(東京)
381.68 Mbps884.67 Mbps144.90 ms41.8%0%
Singtel
(シンガポール)
372.69 Mbps740.94 Mbps273.01 ms40.8%0%
IPA CyberLab 400G
(東京)
354.02 Mbps898.05 Mbps146.73 ms38.7%0%
平均430.9 Mbps849.0 Mbps168.9 ms47.2%0.1%

平均430.9Mbps・維持率47.2%。

レイテンシは平均168.9msで、Webブラウジングや動画視聴には支障のない水準だが、レイテンシ依存のゲームには厳しい。


ISP(GSL NetworksとPacketHub)間でレイテンシに大きなばらつきがあり(110ms〜273ms)、接続品質が安定しない傾向があった。

アメリカ(ロサンゼルス・ニューヨーク)

アメリカはロサンゼルスとニューヨークで測定した。


まずはロサンゼルスのサーバーだ。

ロサンゼルスのサーバーに複数回接続したところ、接続先のISPはPacketHubとClouviderがあった。

以下の表では上2つがPacketHub、下2つがClouviderに接続した場合となる。

スクロールできます
speedtest.net接続先ダウンロードアップロードレイテンシDL維持率パケロス
KamaTera, Inc.(ロサンゼルス)441.34 Mbps897.50 Mbps116.40 ms48.3%2.1%
IPA CyberLab 400G(東京)467.20 Mbps827.09 Mbps231.27 ms51.1%2.3%
KamaTera, Inc.(ロサンゼルス)456.20 Mbps903.46 Mbps114.03 ms49.9%0.9%
IPA CyberLab 400G(東京)454.78 Mbps900.82 Mbps224.41 ms49.8%0%
平均454.9 Mbps882.2 Mbps171.5 ms49.8%1.3%


ニューヨークのサーバーに複数回接続したところ、接続先のISPはM247 Europeだった。

スクロールできます
speedtest.net接続先ダウンロードアップロードレイテンシDL維持率パケロス
GSL Networks
(ニューヨーク)
385.51 Mbps894.72 Mbps165.03 ms42.2%0.8%
IPA CyberLab 400G
(東京)
393.19 Mbps743.47 Mbps355.04 ms43.0%7.2%
平均389.4 Mbps819.1 Mbps260.0 ms42.6%4.0%

LAが平均454.9Mbps(維持率49.8%)、NYが平均389.4Mbps(維持率42.6%)だった。

Netflixの海外コンテンツ視聴(要求帯域はフルHDで約5Mbps・4Kで約25Mbps)という用途であれば十分な速度だ。


ただしLA・NYともにパケットロスが複数回の計測で発生しており、長時間の安定した接続を前提とする用途では注意が必要だ。

特にNYのPacketHub経由では7.2%というやや高いパケットロスが記録された。

イギリス(ロンドン)

イギリスのサーバーに複数回接続したところ、接続先のISPはClouviderだった。

speedtest.net接続先ダウンロードアップロードレイテンシDL維持率パケロス
IPA CyberLab
400G
(東京)
319.27 Mbps733.51 Mbps457.20 ms34.9%0%
Clouvider Ltd
(ロンドン)
328.63 Mbps852.83 Mbps240.45 ms36.0%0%
平均323.9 Mbps793.2 Mbps348.8 ms35.5%0.0%

平均323.9Mbps・維持率35.5%。

日本からの物理距離が最も遠い区間であり、レイテンシの平均は348.8msと高い。

それでも300Mbps超の速度が出ており、ストリーミング視聴には十分な帯域だ。

パケットロスは両計測とも0%と安定していた点は評価できる。

速度まとめと評価

全体を通じて言えることは、アップロード速度の維持率が非常に高いという点だ。

海外サーバーでもアップロードは800〜900Mbps台を維持しており、ダウンロードとは対照的だ。

これはNordLynxプロトコルの特性上、送信方向の帯域確保が優先される実装になっていることが一因と考えられる。

ビデオ会議やファイルのアップロードを多用する用途では特に恩恵がある。


ダウンロードに関しては、国内サーバー(東京)では実用上ほぼ問題ないレベルを維持しているが、今回の調査では韓国・ニューヨーク・ロンドンといった遠距離サーバーではベースラインの35〜43%程度まで落ち込む

ただし、VPNの主要な用途(ストリーミング視聴・ブラウジング・ファイル転送)において必要な帯域と照らし合わせれば、320〜450Mbps台は依然として十分な速度だ。


NordVPNの速度をSurfsharkと比較した詳細なデータは、後述のSurfshark比較セクションで示す。

NordVPNのセキュリティ機能を実機で検証する

第三者機関の監査結果は「NordVPNが安全に設計・運用されていること」を示すものだが、実際に手元の環境で動作するかどうかは別の話だ。

このセクションでは、DNSリーク・IPv6リーク・キルスイッチという3つの項目について筆者が実機で検証した結果を報告する。

DNSリーク・IPv6リークテスト

ここではDNSリーク・IPv6リークテストについて解説する。

DNSリークとは

VPNを使う目的の一つは、自分がどのサイトにアクセスしているかを第三者に知られないようにすることだ。

しかし、VPNを接続していても「DNSクエリ」がVPNの外に漏れてしまうことがある。

DNSクエリとはサイト名(ドメイン)をIPアドレスに変換するリクエストのことだ。

これをDNSリークと呼ぶ。


DNSリークが起きると、VPNで通信内容は暗号化されていても、「どのサイトにアクセスしようとしたか」という情報がISP(通信会社)に筒抜けになってしまう。


検証はNordVPN公式のDNSリークテストツールを使用した。

東京・アメリカ・アルゼンチンの各サーバーに接続した状態で標準テスト・拡張テストの両方を実施したが、いずれの接続でもDNSリークは検出されなかった。

NordVPNのDNSリークテストの結果ページ
(画像:NordVPN、一部加工)

DNSクエリはVPNトンネル内に収まっており、NordVPN自身のDNSサーバーが使用されていることが確認できた。

IPv6リークとは

現在のインターネットはIPv4とIPv6という2種類のアドレス体系が混在している。

VPNがIPv4の通信のみを対象とし、IPv6の通信を素通りさせてしまう場合、IPv6アドレスから本来のIPが漏洩するリスクがある。

これはIPv6への対応が不十分なVPNの場合に発生する。


検証はHIDE MY IPのIPリークチェッカーツールを使用した。

NordVPNはIPv6通信を無効化して処理するため、IPv6アドレスの露出は確認されなかった。

Hide My IPのIPv6リークテストの結果ページ
(画像:Hide My IP、一部加工)

IPv6経由でのIP漏洩リスクは排除されていると判断できる。

キルスイッチの動作確認

キルスイッチはVPN接続が予期せず切断された際に、インターネット全体への通信を即座に遮断する機能だ。

VPNが切れた瞬間だけ素のIPアドレスが露出する、という「一瞬の漏洩」を防ぐために存在する。


イメージとしては、VPNを「安全なトンネル」に例えると、キルスイッチは「トンネルが崩壊したらその場で立ち止まって引き返す仕組み」だ。

トンネルが崩壊した状態のまま先に進んでしまうと、素の状態で外にさらされてしまう。


筆者の検証では、NordVPNのWindows版アプリでキルスイッチを有効化した状態でVPN接続を強制切断し、その直後にIPアドレスの確認ツールにアクセスを試みた。

結果としてインターネット通信は即座に遮断され、VPN再接続が完了するまでアクセスできない状態となった。

意図的にVPN接続を切った際も、キルスイッチが正常に機能することが確認できた。


なお、NordVPNのキルスイッチには「アプリキルスイッチ」と「システムキルスイッチ」の2種類がある。

アプリキルスイッチは指定した特定のアプリの通信のみを遮断するもので、システムキルスイッチはデバイス全体のインターネット通信を遮断するものだ。

用途に合わせて使い分けができる。

個人的には常時VPNを使う場合はシステムキルスイッチを有効にしておくことを推奨する。


なお、キルスイッチは先ほども書いたように、VPNの接続が行われていない場合にすべての通信を遮断する仕組みだ。

自動接続を有効化していない場合など、VPNへ接続していない状態でChromeなどでサイトにアクセスすると以下のようなエラー画面が表示される。

Chromeのインターネットアクセスがブロックされている画面の例
(出典:GoogleChrome)

VPNサーバーに接続したり、キルスイッチをオフにすれば解決するが、この仕組みを理解できていなければどのサイトにもアクセスできなくなり、詰む可能性がある。

そのため、十分に注意してほしい。

脅威対策Proの実力と限界

脅威対策ProはNordVPNのプラス・コンプリートプランに付帯するセキュリティ機能で、マルウェアブロック・広告ブロック・トラッカーブロック・フィッシング対策を統合している。

VPN接続とは独立して動作するため、VPN未接続時にも機能する点が特徴だ。


ただし、前述の安全性セクションでも触れたとおり、AV-TESTによる2024年の評価ではマルウェア検出率は83.42%、AV-Comparativesのフィッシング対策認証では85%という結果だった。

数値はそれぞれ高いほど優れている。

これらの数値を専用のウイルス対策ソフトの数値(いずれも99~100%程度)と比較すると、その差は明確だ。


つまり、脅威対策Proは「VPNに付帯する補助的なセキュリティ機能」として捉えるのが正確であり、単体でウイルス対策ソフトの代替として機能するものではない。

仮にNordVPNのみに頼ってウイルス対策ソフトを入れないという運用をとった場合、単純計算でマルウェアの約17%・フィッシングサイトの約15%は素通りしてしまう計算になる。

セキュリティの多層防御という観点から、VPNとウイルス対策ソフトは役割が異なるツールとして併用することを強く推奨する。

NordVPNのデメリットと注意点

NordVPNは総合的に完成度の高いVPNサービスだが、無条件に推奨できるわけではない。

このセクションでは、データや事実に基づいてデメリットと注意点を正直に記述する。

2018年のサーバー侵害事件。何が起き、どう対処されたか。

NordVPNを語るうえで避けて通れないのが、2018年3月に発生したサーバーへの不正アクセス事件だ。

この事件は2019年10月にTwitter上で情報が流出する形で発覚し、「NordVPNがハッキングされた」として広く報道された。

経緯について

正確な経緯を整理する。


2018年3月、NordVPNがフィンランドのデータセンター事業者から借り受けていたサーバー1台に不正アクセスがあった。

侵入はそのデータセンター事業者がNordVPNに無断で作成していた、セキュリティの甘いリモート管理システムのアカウントを経由して行われた。


しかし、侵入者はユーザーのアクティビティログを発見できなかったと報告されている。

なぜならNordVPNにはログ自体が存在しないためだ。

ユーザーの身元・ユーザー名・パスワードも発見されなかった。

侵入者が入手したのは、すでに有効期限が切れたTLSキー(暗号化関係の鍵)のみだった。


データセンター側はこのアカウントを2018年3月20日に削除したが、NordVPNには通知しなかった。

NordVPNが侵害の事実を知らされたのは2019年4月13日のことであり、侵害発生から1年以上が経過していた。

NordVPNは同日にサーバーを廃棄し、5,000台以上のサーバー全体の監査を即座に開始した。


公表が遅れた理由についてNordVPNは、「同様の攻撃が他のインフラでも再現不可能であることを確認するまで公表しなかった」と説明している。

また、このインシデントはNordVPN自身のシステムの欠陥ではなく、第三者のデータセンター事業者側の不適切な設定によるものだった。


評価

この事件をどう評価するかは、いくつかの観点から整理する必要がある。


まず被害の範囲について。

影響を受けたのは当時3,000台以上あったサーバーのうちの1台であり、ユーザーの認証情報は一切漏洩していない。

ノーログポリシーが実際に機能していたため、「どのユーザーが何にアクセスしたか」という記録が存在せず、侵入者が取得できた実害のあるデータはなかった。


次に対応について。

NordVPNはこの事件を契機に、ノーログ監査の継続実施・バグバウンティプログラムの整備・全サーバーのディスクレス(RAM専用)化・データセンター契約基準の厳格化など、インフラ全体のセキュリティ強化策を実施した。

現在実施されているデロイト社による定期監査も、この事件が直接の契機となっていると考えられる。


一方で批判的な観点も無視すべきではない。

セキュリティ研究者の一部は、侵入者がそのサーバーを経由するユーザーのトラフィックを監視できる状態にあった可能性を指摘している。

NordVPN側は「監視が行われた形跡はない」としているものの、その期間に該当サーバーに接続していたユーザーには理論上リスクが存在した。

また、侵害の事実を約1年半にわたって公表しなかったことは、透明性という観点から正当な批判を受けた点だ。


総合的に見ると、この事件はNordVPN自身のコードやアーキテクチャの脆弱性によるものではなく、第三者事業者の管理不備に起因する。

また、その後の対応として継続的な第三者監査体制を構築したことは評価できる。

ただし「過去に一切問題がなかったVPN」ではないという事実は、利用者として正確に把握しておくべきだ。

通信速度の低下

本記事の実測データが示すとおり、NordVPNを使うと通信速度は必ず低下する。

東京サーバーではダウンロード速度の維持率が平均86.7%と実用上ほぼ問題ないレベルだが、遠距離のサーバーになるほど低下は顕著になる。

今回の調査ではたまたまかもしれないが、VPNを利用しない場合と比べて、韓国(ソウル)では34.8%、イギリス(ロンドン)では35.4%まで落ち込んだ。


もっとも、これはNordVPN固有の問題というよりVPN全般に共通する物理的な制約だ。

データが日本から海外のVPNサーバーを経由して往復する以上、遅延は避けられない。

重要なのは「どの用途で、どのサーバーを使うか」だ。


Netflixの海外コンテンツ視聴の場合、フルHDで5Mbps・4Kで25Mbps程度が要求される。

NordVPNの速度は300Mbpsを超えているため、動画視聴用途であれば十分だ。


しかし、リアルタイム性を要するオンラインゲームで海外サーバーを使う場合は、遅延の増加を体感しやすい。

用途に合ったサーバーを選ぶことが前提となる。

1ヶ月契約は割高

NordVPNの料金設計は長期契約を前提としており、1か月プランの月額1,810円(ベーシック)は、2年+3か月プランの月額470円と比べて約4倍の価格になる。

旅行や短期間の利用のみを目的とする場合、この価格は割高だ。


30日間の返金保証を活用すれば実質的に1か月無料で試すことはできる。

しかし、それを超えて1か月単位での継続利用を想定するなら、月額料金がより安価な他のサービスを選ぶ方が合理的な場合もある。

脅威対策Proはウイルス対策ソフトの代替にならない

前述のセキュリティ機能の検証セクションでも触れたが、改めて整理する。

NordVPNのプラス・コンプリートプランに含まれる脅威対策Proは、AV-TESTによる2024年の評価でマルウェア検出率83.42%・AV-Comparativesのフィッシング対策で85%という結果だった。

専用のウイルス対策ソフトが概ね99〜100%の検出率を達成していることと比較すると、この差は無視できない。


上記のデータから、NordVPNをプラス・コンプリートプランで契約し「セキュリティソフトも兼ねる」という運用は推奨しない。

VPNとウイルス対策ソフトはそれぞれ異なる脅威に対応する別々のツールであり、両方を適切に導入することが多層防御の基本だ。

中国・ロシアでの利用は不安定

中国はVPNのトラフィックを検出・遮断する技術を継続的に強化しており、NordVPNの接続が不安定になるケースが報告されている。

ロシアも同様に、VPNプロバイダに対する規制を強化している。


NordVPNには難読化サーバーという、VPNトラフィックを通常の通信に見せかける機能があるが、それでも中国・ロシアでの安定した接続は保証されていない。

これらの国への渡航を主目的にVPNを選ぶ場合は、難読化技術に特化した実績のあるExpressVPNやAstrill VPNを検討することを推奨する。

なお、VPNの利用規制がある国での使用は現地の法令を必ず確認したうえで、自己責任において判断することが前提だ。

SurfsharkとNordVPNを徹底比較する

SurfsharkはNordVPNと並んでよく比較対象に挙がるVPNサービスだ。

価格帯が近く、機能も充実しており、どちらを選ぶかで迷う人は多い。

本セクションでは実測データと仕様の両面から比較する。


なお、一点重要な背景情報として触れておく。

NordVPNとSurfsharkはともにNord Securityを親会社とする兄弟ブランドだ。

それぞれ独立したインフラと開発チームを持ち、実質的に競合製品として機能しているが、企業の所有構造は同一だ。

この事実が安全性の評価にどう影響するかは後述する。

速度比較(実測データ)

筆者はSurfsharkも契約しており、両者で速度の計測を行った。

同一環境での比較条件は以下のとおりだ。

項目NordVPNSurfshark
計測日2026年4月14日
15〜17時
2026年4月14日
12〜14時
プロトコル
(接続方法)
NordLynx
(WireGuardベース)
WireGuard
回線eo光 5Gbps同左
接続方法有線LAN /
PC端子1Gbpsベース
同左
計測ツールspeedtest.net CLI同左

両者ともWireGuardベースのプロトコルを使用しており、プロトコル条件はほぼ揃っている。

ベースライン(VPN未接続)はNordVPN計測時に取得した913.75Mbps(DL)・928.77Mbps(UL)を基準とする。


地域別ダウンロード速度比較

地域別のダウンロード速度の差は以下のような結果となった。

スクロールできます
サーバーNordVPN平均DLSurfshark平均DL差分
ベースライン
(VPN OFF)
913.75 Mbps
日本(東京)792.4 Mbps648.2 Mbps+144.2 Nord優位
韓国(ソウル)318.1 Mbps224.7 Mbps+93.4 Nord優位
シンガポール430.9 Mbps430.4 Mbpsほぼ同等
アメリカ(LA)454.9 Mbps399.7 Mbps+55.2 Nord優位
アメリカ(NY)389.4 Mbps493.0 Mbps+103.6 Surf優位

地域別アップロード速度比較

次にアップロード速度の差だ。

地域別のアップロード速度の差は以下のような結果となった。

スクロールできます
サーバーNordVPN平均ULSurfshark平均UL差分
日本(東京)902.6 Mbps901.0 Mbpsほぼ同等
韓国(ソウル)778.6 Mbps360.6 Mbps+418 Nord優位
シンガポール849.0 Mbps880.8 Mbps+31.8 Surf優位
アメリカ(LA)882.2 Mbps887.6 Mbpsほぼ同等
アメリカ(NY)819.1 Mbps877.4 Mbps+58.3 Surf優位

レイテンシ(遅延)比較

次にレイテンシ、つまり遅延の差だ。

レイテンシは値が低いほど優れている。

サーバーNordVPNSurfshark
ベースライン(VPN OFF)11.9 ms
日本(東京)12.7 ms12.6 ms
韓国(ソウル)60.9 ms115.8 ms
シンガポール168.9 ms333.1 ms
アメリカ(LA)171.5 ms169.1 ms
アメリカ(NY)260.0 ms236.8 ms


結果を整理すると、ダウンロード速度ではNordVPNが東京・韓国・LAで優位に立つ一方、NYではSurfsharkが約100Mbps上回った。

シンガポールはほぼ同等だ。

アップロード速度は韓国を除いて全体的に両者ともに高い水準を維持している。


特に差が大きいのは東京サーバーのダウンロード速度だ。

NordVPN(792Mbps・維持率86.7%)に対してSurfshark(648Mbps・維持率70.9%)と、約144Mbpsの差がある。

日本国内での日常利用を主目的とする場合、この差はNordVPNを選ぶ根拠になりうるが、実用上の差があるかと聞かれるとない。

レイテンシについても0.1msだけNordVPNが優れているが、まさに誤差の範囲だ。


韓国サーバーのアップロード速度の差も見逃せない。

今回の調査ではNordVPN(778.6Mbps)に対してSurfshark(360.6Mbps)と約2倍以上の開きがあり、韓国経由での通信ではNordVPNが大きく優位だ。


一方でNYサーバーではSurfsharkが優位であり、特定の地域によって有利不利は入れ替わる。

「どの地域のサーバーを主に使うか」によって選択が変わりうる点は認識しておくべきだ。


速度については今後も定期的に更新していく。

セキュリティ・プライバシー比較

次にセキュリティやプライバシーの点で比較する。

項目NordVPNSurfshark
暗号化AES-256AES-256-GCM /
ChaCha20
ノーログ監査Deloitte
(6回・2018〜2025年)
Deloitte
(2回・2023・2025年)
インフラ監査Cure53
(2022・2025年)
Cure53
(2026年)
管轄法域パナマ
(5/9/14アイズ圏外)
オランダ
(9アイズ加盟国)
キルスイッチ
DNSリーク防止
RAM専用サーバー

最も注目すべき差異は管轄法域だ。

NordVPNはパナマ法人であり5・9・14アイズ連合の圏外にある。

一方Surfsharkはオランダを拠点とし、9アイズ加盟国に含まれる。

ノーログポリシーにより共有するデータ自体が存在しないという点は両者に共通するが、法的な管轄の快適度という観点ではNordVPNの方が有利だ。


ただし、ジャーナリストや内部告発者のように極めて高い匿名性を必要とするケースを除けば、一般ユーザーにとってこの差が実害につながる可能性は低い。

ノーログポリシーが第三者監査で継続的に検証されているという事実が、実質的なリスク軽減として機能している。


ノーログ監査の回数ではNordVPNが6回(2018年から継続)、Surfsharkが2回と、NordVPNの監査実績が厚い。

セキュリティへの透明性という観点では現時点でNordVPNが上回っている。

機能比較

次に機能面で比較する。

機能NordVPN
(ベーシック)
Surfshark
(スターター)
VPNコア機能
キルスイッチ
広告ブロック
ダブルVPN / MultiHop
スプリットトンネリング
同時接続数最大10台無制限
Threat Protection Pro
(プラス以上)

(One以上)
ウイルス対策
(プラス以上)

(One以上)
パスワードマネージャー
(プラス以上)
クラウドストレージ
(コンプリートのみ)
Alternative ID
IP Rotator

機能面でSurfsharkが優位な点は同時接続無制限だ。

NordVPNが最大10台であるのに対し、Surfsharkはデバイス数の制限がない。

家族全員のデバイスや、PCを複数台使う環境では大きなアドバンテージになる。


SurfsharkのAlternative IDは、信頼できないサービスへの登録時にダミーのメールアドレスや個人情報を生成する機能だ。

NordVPNのベーシックプランには相当する機能がなく、プライバシー保護の観点でユニークな付加価値がある。

料金比較

料金は為替レートや地域・キャンペーンによって変動するため、契約前に公式サイトで確認することを推奨する。

プランNordVPN ベーシックSurfshark スターター
1か月¥1,810¥2,398
1年
(月額換算)
¥700¥478
2年+3か月
(月額換算)
¥470¥298
同時接続最大10台無制限
返金保証30日30日
(※2026/04/17時点)

長期契約(2年+3か月)ではSurfsharkの方が月額換算で安価になる。

台数制限のないことを考えると、複数人・複数台での利用ではSurfsharkのコスパが上回る場面がある。

どちらを選ぶべきか

両者を比較した結論を整理する。

NordVPNを選ぶべきケース

日本国内サーバーの利用が中心で速度を重視する場合、NordVPNが優位だ。

東京サーバーでのダウンロード速度維持率は86.7%と、Surfsharkの70.9%を大きく上回る。


また、セキュリティへの透明性を最優先にする場合も現時点でNordVPNの方が実績が充実している。

プライバシーの観点では管轄がパナマである点と、6回にわたる継続的なノーログ監査実績がSurfsharkより厚い。

Surfsharkを選ぶべきケース

家族や複数台のデバイスをまとめて保護したい場合は同時接続無制限のSurfsharkが合理的だ。

長期契約での月額コストもSurfsharkの方が安価であるため、純粋にコストを抑えたい場合もSurfsharkに分がある。

NYサーバーでの速度もSurfsharkが上回っており、アメリカの東海岸への接続を多用する用途では検討に値する。

まとめ

本記事では、NordVPNを速度・安全性・料金・競合比較という複数の観点から検証してきた。

最後に各セクションの要点を整理し、判断の指針を示す。

安全性について

デロイト社によるノーログ監査を2018年から2025年まで6回継続して通過しており、第三者検証の実績という点では現時点で業界内でも最上位に位置する。

Cure53によるペネトレーションテストも2022年・2025年と定期的に実施され、2025年の監査では致命的な脆弱性は発見されなかった。

管轄がパナマである点も、政府機関からのデータ開示要求を受けにくい法的環境として機能している。


2018年のサーバー侵害事件については、NordVPN自身のコードの欠陥ではなく第三者データセンターの管理不備が原因であり、ユーザーの認証情報の漏洩はなかった。

ただし、公表が1年半以上遅れたことは透明性の観点から正当な批判を受けた事実だ。

現在は継続的な監査体制とRAM専用サーバーへの移行によってインフラが強化されており、当時とは異なる体制にある。


ちなみにRAM専用サーバーについては「【専門家が解説】VPNのRAMサーバーとは何か。通常サーバーとの違いと選ぶべき理由」で詳しく解説している。

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速度について

NordLynxプロトコル使用時の東京サーバーでのダウンロード速度維持率は平均86.7%と、VPNとしては非常に高い水準だ。

日本国内での日常利用であれば速度面の不満はほぼ生じない。


一方で今回の調査では、韓国・ロンドンなど遠距離のサーバーでベースライン比35%前後まで落ち込むケースがあった。

用途に合わせたサーバー選択が前提となる。


Surfsharkとの比較では、東京・韓国・LAでNordVPNが優位、NYではSurfsharkが上回るという結果だった。

日本国内利用が中心であればNordVPNの速度優位は明確だ。

料金について

2年+3か月プランのベーシックプランであれば月額470円まで抑えられる。

NordVPNの2年契約時の料金表
(出典:NordVPN、2026/04/17時点)

長期利用を前提にすると、コストパフォーマンスは高い。

Surfsharkの同等プランと比べると若干高くなるが、日本サーバーの速度優位とノーログ監査の実績の厚さを踏まえると、その差は十分に納得できる範囲だ。

総評

NordVPNは「完璧なVPN」ではないが、「現時点で最もバランスよく信頼できるVPN」という評価は実績として裏付けられている。

速度・安全性・機能・価格のいずれかに極端に特化したサービスではなく、それぞれが高い水準で揃っている点が長期利用に向いている理由だ。

筆者自身が4年以上使い続けているのも、この安定感が理由だ。


一方でデメリットも明確だ。

脅威対策Proはウイルス対策ソフトの代替にはならない。

また、中国・ロシアでの接続は不安定になる可能性がある。

1ヶ月契約は割高であり、1年・2年契約についてもSurfsharkなどと比べると高いのは事実である。

これらを把握したうえで自分の用途に照らし合わせて判断してほしい。


迷っている場合は30日間の返金保証を活用して実際に試すことを勧める。

VPNは使ってみなければ自分の環境との相性はわからない部分もある。

契約後30日以内にサポートに連絡すれば全額返金されるため、リスクなく検証できる。

参考文献

この記事は以下の情報を基に作成した。

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この記事を書いた人

べるどらのアバター べるどら 合同会社Now Topic / 合同会社Veemlet 代表社員、CyberProgress 運営責任者

CyberProgressの運営責任者。合同会社Now Topic・合同会社Veemlet 代表社員。2020年からWebメディアの運営を開始し、現在は約10サイトを手掛ける。Webアプリやスマホアプリの開発も行う。サーバーの解説を行うYouTubeチャンネルの総再生回数は6万回を突破。ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験、情報処理安全確保支援士試験に合格。

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